諺・慣用句の語源14

◆断腸の思い

 中国の『世説新語』に書かれている伝説からきています。子を失って、その悲しみのあまり死んでしまった母猿の腹を割いてみたところ、腸が細かくちぎれていたというものです。
 
◆天高く馬肥ゆ
 出典は『漢書?匈奴伝』です。もともとの意味は現在使われているのとは随分違っています?匈奴はずっと漢民族の中国を脅かし続けた北狄です。代々の王朝はその防衛に苦労してきましたが?匈奴が襲ってくるのは冬の食糧を確保しなくてはならない晩秋のころでした。そして、「晴れ渡った秋空?匈奴の馬たちも腹いっぱい草を食べて肥ったことだろう。そろそろ草も枯れる?まもなく我々の収穫を奪いにくるぞ」というのが、このことばの本来の意味です。秋を迎えたすがすがしさを喜ぶどころではないのです。
 
◆桃源郷(とうげんきょう)
 晋のころ、武陵の漁師が小舟で川を上っていき、水源地の山の小さな穴をくぐりました。すると、山の向こうに桃の花の咲き乱れる美しい山里がありました。そこに住む人々もみな善良で、まるでこの世の別天地のようでした。聞けば、何百年も前の秦の時代に乱世を逃れた人たちの仙境だといいます。漁師は数日間滞在して帰ってきて?太守を案内してこの仙境を探しましたが?再びその入り口を見つけることができなかったのです。
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