ハエとミツバチ

 むかしむかし、二人の姉妹(しまい)がいました。

 妹の名前はブンブンブンで、姉の名前はウウウウウです。
 妹のブンブンブンは、それはそれは働き者で、食べ物がない寒い冬のためにせっせと食べ物を集めてまわりました。
 しかし姉さんのウウウウウは先の事は何も考えずに、毎日遊んでばかりです。
 
 ある日、ブンブンブンが言いました。
「ねえ、お姉さん、そんなになまけてばかりいると、今にきっと困るわ。だって食べ物がない冬は、とても長いのよ。ミツのある花なんか、どこを探してもありはしないわ」
 でもウウウウウは、のんきそうに言いました。
「まあ、あなたったら若いくせに、そんな先の心配ばかりしているなんてどうかしてるわ。寒くなればなったで、どうにかなるものよ。・・・そうねえ、わたしの妹は働き者ですもの。きっと、おいしいミツをごちそうしてくれるわ」
「まあ、お姉さんたら。わたしだって、遊びたいのをがまんして働いているのよ。せっかく集めたミツを、なまけ者のお姉さんに取られてしまうなんて、とんでもない事だわ」
 やがて妹は、姉さんと別れて暮らす事にしました。
 
 さて、食べ物のない、寒い冬がやって来ました。
 妹は蓄えてあるミツを食ベて、のんびりと暮らしていました。
 
 ある日、姉さんが妹の家の戸を叩きました。
「お願いだから、食ベ物をめぐんでちょうだいな。お腹が空いて死にそうなの」
 それは、とてもあわれな姿でした。
 やがてなまけ者の姉さんは、バツとしてハエに変わり、働き者の妹はミツバチになりました。
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