最后的朋友 第三回

  • A+
所属分类:日语阅读

『命を削る思い』 

 
「もしも私に、人の心を知る能力があったら、 
 あの恐ろしい出来事を、あの死を、 
 防ぐことが出来たんだろうかって。」 
 
美知留(長澤まさみ)は、モトクロスの大会で転倒し、 
病院に搬送された瑠可(上野樹里)に付き添っていた。 
そこにやってきた宗佑(錦戸亮)は、美知留を連れ出すと、 
帰宅時間を守らなかった彼女を責め、彼女の頬を平手打ちする。 
トイレに立った際に偶然その現場を目撃してしまった瑠可は、 
美知留を庇い、宗佑の前に立ちはだかった。 
ほどなく、瑠可の戻りが遅いことを心配したタケル(瑛太)もやってきた。 
「瑠可... 
 今思えば、あれは虫の知らせだったんだな。 
 初めて見た、君の必死な顔。 
 君は傷ついた体で、大切な友達を守ろうとしていた。」 
「...何してるんですか!!」 
イスを持ったまま立ち尽くす宗佑の腕を押さえつけるタケル。 
宗佑がイスを落とす。 
「何で美知留を殴ったんですか!?」と瑠可。 
「殴った!?」とタケル。 
「何でなのか言って下さい!」と瑠可。 
「...殴ってませんよ。 
 ちょっとふざけてたら、このイスが倒れただけです。」と宗佑。 
「嘘だろそんなの! 
 美知留?」瑠可が美知留に聞く。 
「...そうなの瑠可...何でもないの。」 
「何でもないって...」 
「ごめんね、瑠可。瑠可も大変な時なのに、心配させちゃって。 
 本当に、たいしたことないから。」そう言い無理やり微笑む美知瑠。 
「何謝ってんだよ! 
 美知留が謝ることじゃないだろ!? 
 それにどう見たって暴力だろこれ! 
 違うのかよ!」宗佑を問い詰める瑠可。 
「勘違いです。 
 本当にふざけてただけですから。」 
そう言いイスを戻す宗佑。 
「どうしたんだ一体。」瑠可の父親がやって来た。 
「...何でもない何でもない。ね!」瑠可がタケルに同意を求める。 
「...そうです。」タケルはそう言い瑠可を助け起こす。 
「ちょっと、立ち話っていうか、ちょっと、転んじゃって。 
 そしたらみんなが助けてくれて。」と瑠可。 
「大丈夫なのか?本当に。」 
「うん。大丈夫大丈夫。」 
タケルの肩を借りて歩く瑠可は、宗佑とすれ違いざま、彼を睨みつける。 
二人は美知留のことを気にしつつ、父と共にその場を去る。
 
三人がいなくなると、美知留は不安そうに視線を宗佑に移す。 
病院を足早に後にする宗佑。その後を追う美知留。 
「今日はごめんね。 
 早く帰らなきゃいけないのはわかってたけど、 
 怪我をしてる瑠可を見てたら、心配でほとけなくて。」 
「...あいつとはもう付き合うな。」 
「あいつって...瑠可のこと?」 
黙って先を行く宗佑を、美知留は見つめ...。 
 
病院を退院する瑠可。 
「本当にもう大丈夫なのか?体のほうは。」父親が心配する。 
「うん。ご心配をお掛けしました。 
 これからはリハビリを頑張って、1日も早く練習に戻らないとね。」 
「頑張るのはいいけど、怪我にだけは気をつけろよ。」 
父の言葉に微笑み、散りかけた桜の木を見上げる瑠可。 
「覚えてる?お父さん。 
 私が、おばあちゃんちの裏庭の木に登って、 
 落っこちた時のこと。」 
「覚えてるよ。手ついて、手首の、ここの骨折ったんだよな。」 
「そうそう。でも一ヶ月立って治ったら、また同じ木に登って。」 
「そうだったな。」 
「お父さん下でおろおろ見てたよね。」 
「うん。」 
「でも降りて来いって言わなかった。 
 お父さんは危ないからやめろって言わない人なんだよね。 
 私がやりたい事は、どんなに心配でも言わずに見ててくれるんだよね。 
 昔から!」 
「止めたってやめないだろ、お前。」 
「そうだね!やめない。」瑠可が、父親が笑う。 
子供を大きな愛情で包んできた父。 
この父が瑠可の秘密を知ったとき、彼は今までのように 
瑠可の意思を尊重し、見守っていてくれるのでしょうか。 
それとも...。 
 
退院してタケルとともにシェアハウスに戻った瑠可は、 
エリ(水川あさみ)や友彦(山崎樹範)に病院での出来事を報告した。 
「DV!?」 
「あの、美知留ちゃんが!?」 
二人が驚く。 
「私だって目を疑ったよ。 
 でも見ちゃったんだよね。」 
「俺も見たんだよね。」 
「タケルも!?」とエリ。 
「俺が見たのは、その男が、イス持って、」 
「えーっ!投げつけたの!?」 
「いや投げてはないんだけど、でも明かに、手をあげたあとだった。」 
「俺はなんもしてないとか、ただふざけてただけだとか、 
 ぬけぬけと言い訳するんだよね。 
 見られてたってわかってんのに!」と瑠可。 
「えー、でも何で美知留ちゃん叩くわけ?理由は何なの?」とエリ。 
「わかんない。 
 ...あー、なんか言ってたな。 
 時間を守らないとかなんとか。」 
「そんなことで!? 
 ...世の中には、そんなことで女性にそこまでする男がいるんだ。 
 羨ましい...。」と友彦。 
「羨ましい!?」とエリ。 
「...いや!いやいや!俺はしてないですよ! 
 出来ないですよ、そんな奥さんにそんなこと... 
 考えただけでも恐れ多い!!」 
「俺は絶対に嫌だな、そんなこと。 
 やる方は軽い意識でも、やられた方は...一生傷が残るんだ。 
 愛情の仮面をかぶった暴力って、一番たちが悪いから。」とタケル。 
「...何そのコメンテーターみたいなまとめ方!」とエリ。 
「いや...なんていうかさ。」とタケル。 
「とにかく...美知留をあのままにしておけない。」と瑠可。 
まだタケルの傷が明かにされていませんが、 
愛情の仮面をかぶった暴力を、受けていたのですね。 
恋人に...なのでしょうか。 
 
自分の家に戻ったタケルは、机の上の小包を見つめる。 
『所沢市中富40 
 白幡優子』 
そこへ、電話が鳴る。 
着信の名前をしばし見つめ、受話器を取るタケル。 
「タケル?宅配便、届いてる? 
 そのクッキーね、バターを多めにして、オレンジの粉、入れて作ったの。 
 あなた、子供の頃、好きだったでしょう?」 
「...これで俺の機嫌取ってるつもりなの?」 
「え...」 
「何べんも言ってることだけど... 
 電話とか...宅配便送ってくるのとか、もうやめてよ!」 
「...」 
「あんたは結婚して、旦那も子供もいて幸せなんでしょう!? 
 だったらもう!俺にかまうのやめてよ、ねえ!」 
「タケル...。」 
「あんたは忘れてるふりしてるけど... 
 俺は忘れてないし。 
 許すつもりないから。」 
タケルはそう言い電話を切る。 
電話を切られた優子(伊藤裕子)はタケルの言葉に受話器を持ったまま 
立ち尽くす。 
タケルは優子の小包をゴミ箱に投げ捨て、大きなため息をつくと、 
引越しの準備を続ける。 
瑠可がくれたマグカップを箱から取り出すタケル。 
「ルカ...。 
 いつか俺は君に話せるのかな。  
 俺が子供の時に負った、傷のことを。」 
これがタケルの元恋人? 
それとも...子供の頃を知っているということは...姉? 
タケルは姉に性的虐待を受けていた? 
 
美容院 
お客さんにカットを気に入られ、嬉しそうな美知留。 
「お客様満足してくださったみたいね。」 
店長の小百合(蘭香レア)が声をかける。 
「はい!良かったです!」 
「ちょっと可愛い顔してると得よね。 
 腕はともかく、お客の受けがいいから。」 
「...あの。」 
「いいのよ、そういうのも才能のうちだから。 
 これからカット増やしていこうか。担当のお客さん増やしてあげる!」 
「...ありがとうござます!」 
そこへ、瑠可が訪ねてくる。 
「瑠可!もういいの?怪我。」 
「うん。話す時間、ある?」 
「あ、うん。もうすぐお昼だから、ちょっとなら。」 
ランチを共にする二人。 
そこで瑠可は美知留に宗佑の話を切り出す。 
「美知留...。あの...彼のことだけどさ...」 
「うん、宗佑のこと?」 
「うん...前にもあったの?ああいうこと。」 
「ああいうことって?」 
「だから...美知留を脅したり、叩いたり、そういうこと。」 
「...」 
「あったんだね。」 
「...一緒に暮らしてれば、けんかぐらいするよ。 
 あんなの、たいしたことないじゃん。」 
「本当にそう思ってんの?」 
「...」 
「美知留のお父さんも、酒飲みで、よくお母さん殴ってたんだよね。」 
「...」 
「だったらわかるでしょう?ああいう癖簡単に治んないって。」 
「宗佑はお父さんと違うよ! 
 宗佑のこと...瑠可は何も知らないでしょ? 
 会ったのだって、あの時一度だけだし。」 
「一度で充分だよ!」 
「本当に優しい人なんだよ。 
 それに私のこと、大事にしてくれてるんだよ。」 
「でもあれは違うだろ!? 
 大事にするっていうのとは...。」 
「...瑠可。 
 私ね...人に愛されてるって、感じたこと今までなかった。」 
「...」 
「お父さんにも、お母さんにも。  
 でも...宗佑には...愛されているって感じる。 
 宗佑は、そりゃ極端なところはあるけど、 
 私のことを、いつも見ててくれる。」 
「...何だよそれ...。 
 わかったよ。 
 もういい! 
 もう何も言わないよ!」 
瑠可は、それ以上美知留に何かを言うのを諦め、 
ランチ代を置いて店を出て行ってしまう。 
ずっと美知留を愛してきた瑠可は、 
美知留の"人に愛されてるって、感じたこと今までなかった"という 
言葉が辛かったのでしょうね。 
父や母の愛情を感じることが出来ずに育った美知留が、 
宗佑の愛にすがってしまうのは、わかるような気がします。 
こんな愛でも、失いたくない...と思ってしまうのも。 
別の誰かの愛を信じられるようになれば、宗佑から離れることが 
出来るのかな。 
 
モトクロス練習場 
ヘルメットをかぶり、バイクにまたがる瑠可。 
だがすぐに、バイクから降りてしまう。 
「もうやめよう。 
 あなたのことを考えるのは。 
 あなたのことをこれ以上心配するのは。 
 だって...どうすることも出来ない。 
 愛されたことがないなんて言われたら...。」 
ベンチに腰掛け、練習を眺める瑠可。 
「何見てるんだ?」先輩が声をかける。 
「いや...男と女じゃ、やっぱ走りも違うんだなーと思って。」 
「当たり前だよ。 
 筋力が違う。」 
「簡単に言わないで下さいよ。」 
「...今のお前のラップが、1周1分50秒。 
 男子の平均が1周1分48秒。 
 記録を縮めるにはどうするか。 
 基礎練で体作るしかないんだよ。 
 今はいい機会なんじゃねーか?」 
「...。」 
先輩のアドバイスを守り、足の治療をしながら基礎練習を重ねる瑠可。 
 
ロッカールーム 
タンクトップを脱ぎ捨てた瑠可は、鏡に映った自分の顔を見つめて 
考え込み...。 
ロッカールームから出てきた瑠可を、宗佑が見つめていた。 
そんな折、店長から担当の客を持たされるようになった美知留は、 
張り切って仕事に精を出す。 
女性客のカラーを準備していた時、美知留は店の外に宗佑の姿を見つけ、 
動揺する。 
美知留に嫉妬する先輩の令奈(西原亜希)は、美知留にわざとぶつかり、 
美知留は客にカラー液をかけてしまう。 
9時35分、美知留は慌てて宗佑のいた場所に行ってみるが、 
宗佑はもういなかった。 
急いでマンションに帰宅する美知留。 
インターホン越しに宗佑に語りかける。 
「宗佑、いるんでしょう?開けてくれる?」 
「開けないよ。」 
「...どうして?私鍵持って出るの忘れちゃって。」 
「僕を待たせた罰だ。そこで反省してろよ。」 
そう言いインターホンを切ってしまう宗佑。 
ドアの前に膝を抱えて座る美知留。 
やっと、宗佑がドアを開ける。 
部屋に入ろうとした美知留は、宗佑の腕に3つの痣があることに気づく。 
「どうしたの?それ!」 
「タバコ。 
 今日、君を待っている間、3本のタバコを吸った。」 
「...宗佑。」 
「これからは、時間に遅れないでね。」 
「...」 
宗佑が親に虐待されて育ったとしたなら、 
こうやって、家から閉め出されることも、 
自分のことを傷つけることもあったのかな。 
 
美容室 
「定時に帰りたい? 
 そんなワガママが通用すると思ってるの?」店長が呆れる。 
「無理...ですよね。 
 でも、なるべく定時に、」と美知留。 
「あなたうちに半年も務めているんでしょう!? 
 お客様の要望に合わせていたら、それが出来ないのわかってるでしょう!」 
「はい...。」 
「技術はまだまだでも、骨惜しみしないところがあると思ったから 
 チャンスをあげているのに。 
 ちょっと甘やかすとすぐこれだもんね!」 
「...」 
そんな中、美知留は男性客からの指名を受ける。 
美知留は、男性客の髪は切らない、という宗佑との約束を思い出して 
一瞬戸惑う。 
いつもの場所に宗佑はいない。 
美知留は、意を決してそれを引き受けた。 
  
その夜、美知留と宗佑は、夕食をともにする。 
「どうかな?これ。味濃かった?」 
「ううん。美味しい!  
 ごめんね。宗佑にばっかり作らせちゃって。 
 お腹空いたら、先食べてていいんだよ。 
 宗佑は役所勤めで、きちんと定時に帰れるんだし。」 
「美知留と食べると、美味しいから。」 
「...」 
「今日はどうだった?」 
「え?」 
「仕事場で、変わったこととかあった?」 
「...とくに...ないよ。」 
「約束、守ってくれてる?」 
「...男の人の、髪は切らないっていう?」 
「うん。」 
「切ってないよ。」 
「本当に?」 
「切ってないよ。 
 大体、男のお客さんなんて、うち滅多に来ないし。」 
美知留の言葉に頷く宗佑。 
「...でも、もし、切ってたら?」 
その言葉に宗佑は乱暴にナイフとフォークを置く。 
「切ったの!?」 
「...」 
「切ったのか。」 
「...」 
宗佑は勢いよく立ち上がると、美知留に歩み寄り、 
彼女の髪を掴んで問い詰める。 
「おい言えよ!切ったのか!?」 
「切ったのは悪いの?」 
美知留を突き飛ばす宗佑。 
「美容師は私の仕事なんだよ。 
 男のお客さんが来ることだってあるし、 
 それを断ってられないよ!仕事なんだもん!」 
「でも君は約束した。切らないって。 
 男の客と、僕と、どっちが大事なんだ!」 
「宗佑に決まってるじゃん!」泣きながら答える美知留。 
「何でわかってくれないの?」 
「...」 
美知留は宗佑にそっと抱きつく。 
「宗佑に決まってるでしょう...。」 
宗佑は唇を噛み締め、そして美知留に手を回し... 
抱きしめるのではなく、彼女をもう1度突き飛ばす。 
「二度とやるな! 
 いいか。二度と男の髪を切るな!」 
倒れたままの美知留の瞳から涙がこぼれる。 
 
軽トラックに荷物を載せて、タケルがシェアハウスに引っ越してきた。 
エリ、瑠可、友彦は、タケルの歓迎会を開く。 
「うわー!ありがとう!感動するわ、なんか。 
 いやありがとう!!ありがとう!ありが、 
 ありがとうしか言いようがない。」タケルは大感激。 
「じゃ、駆けつけ一杯。 
 瑠可!タケルにグラスは?」 
「あ、じゃあ、マイカップで。」タケルがあのマグカップを取り出す。 
「あ!それって!」とエリ。 
「そんなのまだ持ってんの? 
 嫌だよ。私のとペアになっちゃうじゃん。」と瑠可。 
「そうだよ。瑠可ね、あとで新しいの買ったんだよ。」 
エリが水色のマグカップを見せる。 
「あ、ほんとだ。しかも色違い!」と友彦。 
「色違いしかなかったんだよ。 
 マジでやだ、すんごい嫌だ。」と瑠可。 
「いいじゃん!これも縁ってことでさ!」とタケル。 
「いいなー。なんか、羨ましいなー。 
 ね、滝川さん、僕たちもペアカップにしょうよー。」と友彦。 
「えー、よく聞こえませーん。 
 じゃ、乾杯!」「乾杯!!」 
「...よろしくお願いします。」とタケル。 
「はい。」と瑠可。 
「どもども。」と友彦。 
「こちらこそ。」とエリ。 
「はい、これ、シェアハウスの鍵。」エリが渡す。 
「うわ!」嬉しそうなタケル。 
「食べよう食べよう!」 
「あれ...ちょっと待って。よく考えたらさ... 
 なんでタケル君の歓迎会があって俺の歓迎会がないわけ!? 
 わ...わーなんか、寂しくなってきた、俺...。」 
「だってオグリン近いうち帰っちゃうんでしょ? 
 奥さんのいる実家に。」とエリ。 
「実家っていう言い方がすでに...。」とタケル。 
「...俺、ずっとここにいようかな。 
 なんか...楽しいんだよね、みんなでこうやって、 
 ワイワイって感じ、初めてでさ。 
 一人暮らし長かったし... 
 奥さんとは、結婚当初からぎくしゃくして、すれ違いだったし...。」 
「そうなんだ...。」とエリ。 
「いいな...一人じゃないって。」と友彦。 
「いいんじゃないんですか?ずっといれば。 
 なんか確かに、これだけいると、 
 楽しいことは、わーって楽しめるし、 
 辛いことがあっても...なんか、紛れるし。 
 うん。だからずっと一緒にいればいいですよ。」とタケル。 
「...」タケルの言葉に感激する友彦。 
「って、俺が言うのもなんか変か!」とタケル。 
「そうだよ!」エリと瑠可が突っ込む。 
「そうだよ!」遅れて友彦が突っ込む。 
「よし!じゃあ食べよう! 
 今日はオグリンの特製です!」 
その後、カラオケで盛り上がるエリと友彦。 
そんな中、瑠可が席を立つ。 
 
テラス 
携帯のアドレス帳、美知留の名前を見つめる瑠可。 
そこへタケルがやって来た。 
「それウーロン茶?」 
「うん。傷が治るまでは禁酒。」 
「...美知留ちゃんに、会った?その後。」 
「ああ...会ったよ。 
 会ったけど...なんか、どうしようもなかったな。遠くて。」 
「...」 
「愛されてるからほっといてくれって感じで...。 
 なんかそういう風に言われちゃうと、 
 手の施しようがないじゃん、こっちも。」 
寂しそうに笑う瑠可。 
 
宗佑のマンション 
同じベッドに眠る二人。 
眠れない美知留は、宗佑の横顔を見つめながら、 
瑠可に言われた言葉を考えていた。 
"でもあれは違うだろ? 
 大事にするっていうのと。 
 もういい。もう何も言わないよ。" 
その時、美知留の携帯が着信する。瑠可からだ。 
シェアハウス 
「返せよ!何してんだよ!」 
「いいじゃん、電話ぐらいしても。」とタケル。 
「...ダメなんだよ。」 
「心配ならただ待ってるだけじゃダメだよ。」 
「あまり電話してくるなって言われてるんだ。」 
「...」 
そこへ、美知留から電話が入る。 
「はい。」 
「瑠可?今、電話くれた?」居間から電話をかける美知留。  
「うん、ごめんね。タケルが勝手にさ。」 
「いいの。 
 ...私も、瑠可と話したかったから。」 
「...そう。」 
「瑠可...。私ね...」 
美知留は、宗佑の眠っている姿を見つめながら話し続ける。 
「...」 
「美知留?」 
「...うん。あのね...」 
「...」 
「...会いたいよ...。」 
「...... 
 美知留! 
 会おうっか。これから。」 
マンションの前で待つ美知留を、タケルの運転する軽トラックが停まる。 
「乗って!」瑠可がドアを開ける。 
「え...」 
「いいから乗って!」 
美知留がトラックに乗り込む。 
「今日、タケルが越してきたんだよ。シェアハウスに。」 
「ふーん!」 
「この車友達に借りたんだって。ね!」 
「うん。」とタケル。 
「どこに行くの?」 
「まー、任せておきな!」 
三人が向かった場所は、夜景が綺麗に見える埠頭。 
「いい景色だよね。」と瑠可。 
「うん。」 
「タケルがどうしても美知留をここに連れてきたいって言うからさ。」 
「...」嬉しそうに微笑む美知留。 
頷きあうタケルと瑠可。 
「うー、寒い。 
 俺ちょっとあの、車戻ってるわ。」とタケル。 
「え...」 
車に戻ったタケルは、二人の背中を見つめて微笑む。 
「せっかくここまで来たのに、寒いからやめとくなんて、 
 あいつやっぱりヘタレだね。」瑠可と美知留が笑う。 
「...その後、どうなの? 
 彼とは上手くいってるの?」 
「...うん。」 
「ケンカもなく?」 
「...」 
「うん?」 
「エヘヘ。うん。」 
「そう。...ならいいんだ。」 
「...」 
「結局さ、人のことなんて、傍から見ていてもわかんないんだよね。 
 幸せも人それぞれだし...。 
 私は、バイクに乗っているのが、最高に幸せで。 
 それで怪我したって、痛くたって、辛くたって我慢できる。 
 ...お父さんは...うちの親父は、それがわかってるから、 
 私がバイクで事故っても文句言わないんだよね。 
 やめろって言わずに、見守ってくれる。 
 それって...愛だと思わない?」 
「...思うよ。」 
「美知留も、その彼といて、つらくても、幸せなんでしょ? 
 だったら文句言えないよ。」  
「...」美知留の瞳から涙がこぼれる。 
「ありがとう。瑠可。 
 ...瑠可...私...ダメなところいっぱいあるけど、 
 これからもずっと、友達でいてくれる?」 
「何言ってんだよ今更。バカじゃないの?」 
美知留に寄り添い背中をさする瑠可、 
ほっとしたのか、美知留の瞳から涙が溢れ、 
泣きながら笑う美知留。 
そんな二人をタケルは見つめ...。 
タケルは優しいですね。 
二人で話す時間を作ってあげようと、自分は車に戻りました。 
美知留の初めてのSOS。 
でも美知留は抱えている不安を、まだ吐き出すことが出来ず...。 
そっと部屋に戻る美知留。 
宗佑は同じ体勢で眠ったままだった。 
美知留はそっとベッドに戻り、宗佑の顔を見つめて呟く。 
「ごめんね...宗佑。」 
「私の人生に、宝物が二つある。 
 瑠可と宗佑。 
 二つとも大切にしようと、私は思ってた。 
 まだ、あの時は...。」 
絶対宗佑は起きていると思いました。 
右手は布団から出して、左手は胸の上。 
宗佑の眠っている格好が、美知留が出ていった時と戻ってきた時と 
ほとんど一緒です。 
 
朝、マグカップにコーヒーを入れるタケル。 
瑠可が起きてきた。 
「おはよう。」 
「あ!おはよう。コーヒー入ってるよ。」 
「あ、サンキュ。 
 ていうか、何で家でもバーテンやってんの?」 
「え?」 
「ていうか...綺麗だし。 
 飲んだ翌朝とは思えない、この部屋!」 
「早く目が覚めちゃったから、片付けといた。」 
友彦が起きてきた。 
「あー、おはよう、小倉さん。」 
「おはようおはよう。でもオグリンでいいよ。 
 あ、コーヒーだ。ありがとう!」 
エリが起きてきた。 
「エリおはようー!」 
「いい匂い!コーヒーとか入っちゃってんの?やっぱ使えるよタケル! 
 サンキュ!」 
「あれ...」と瑠可。 
「うん?」とエリ。 
「さっき、エリーの部屋から出て来た?」瑠可が友彦に聞く。 
「あ...そういえば。」とタケル。 
顔を見合わせ笑う智彦とエリ。 
「痛いなー、二人の視線が。」とエリ。 
「え?何で?どういう流れで?」と瑠可。 
「正直覚えてないんだよねー。 
 昨夜は飲んでたら、いい気持ちになっちゃってー。 
 そういう時って隣りにいる男の肩になーんとなく寄りかかりたく 
 なっちゃうことって、あるじゃん?」 
「...いやないないない!」と瑠可。 
「性格の違いだね。」 
「それで済ませんのかよ。」 
「そうだ、ね!俺たちもマグカップ、ペアにしようよ。」と友彦。 
「それはちょっと考えさせて下さいー。」とエリ。 
「そこで考えるんだ。」 
微笑みあう瑠可とタケル。 
仕事に行く宗佑を見送る美知留。 
「いってらっしゃい。」 
「美知留。」 
「...」 
「約束守れるよね。」 
「...うん。」 
宗佑が出かけていく。 
 
美容院 
「男の客取りたくない!?あなた何言ってるの!? 
 藍田さん、私これでもあなたに期待していたのよ。 
 でもそんな甘えたこと言ってるんだったら、もういい! 
 あなたはもうお客につかなくていいわ!」 
店長は呆れてそう言い放つ。 
仕事を終えたあと、カットの練習をしようとする美知留。 
「藍田さん。」 
「はい。」 
「あなたはカットの練習しなくていいわよ。 
 グルっと棚の上拭いたら帰ってちょうだい。」 
「...」 
夜、宗佑の隣りで眠れずにいた美知留は、ベッドを抜け出し...。 
その頃、シェアハウスでは4人がババ抜きに盛り上がる。 
ホットミルクを入れる美知留。 
ソファーに腰掛け飲みながら、テーブルの上にあった卒業アルバムの 
ページを開く。 
瑠可の顔と名前が、マジックで黒く塗りつぶされていた! 
背後から宗佑がその様子を見つめ...。 
ドアの開く音に驚く美知留。 
「宗佑...」 
「何してんの?」 
「瑠可の...顔が... 
 何で瑠可の顔にこんなことしたの?」 
「...こいつは、君に近づいちゃいけない女なんだ。」 
「...何...言ってるの?」 
「知ってるんだよ。君が夜中にこいつと会ってたの。  
 もう二度と会うなって言ったのに。」 
「なんで?なんで瑠可と会っちゃいけないの? 
 私は、友達にも会っちゃいけないっていうの? 
 モトカレとかならわかるけど、女の子の友達だよ!」 
「こいつは女じゃない! 
 男みたいな目で...男の目で君を見てるんだ!」 
「言ってること...わかんない。 
 おかしいよ、宗佑...」 
「おかしいのはあっちだ。危ない女なんだ。」 
「違うよ!」 
「...」 
「私は、昔っから瑠可のこと知ってるもん!」 
「昔からヤツは君の事を狙ってたんだ!」 
「やめてよ!!」 
二人の間に沈黙が流れる。 
「...宗佑は...私に...私の一番大事な友達にも会うなって 
 言うんだね!」 
「...」 
「私は...宗佑の奴隷じゃないんだよ!」 
「...」 
「宗佑のために、いろんなこと我慢してきた。 
 なんだって我慢出来るって思った! 
 だけどこれだけは譲れない!」 
「...」 
「私の瑠可のことを...悪く言うのはやめて!!」 
「私の...瑠可...。」宗佑が美知留を睨む。 
「私の瑠可って言ったな!」 
宗佑の平手が美知留に飛び...。 
 
シェアハウス 
「やったー!」瑠可の勝ち。 
「あー、私明日8時からフライトなのにヤバイよー。 
 ババ抜きってこんな面白かったっけ?」とエリ。 
「大丈夫だよ。メイクでここに目書いてあげるから。 
 そしたら、立って眠っててもバレない!」とタケル。 
「マジで!?」エリは大笑い。 
「ねー、それ俺もやってもらってもいい?」と友彦。 
「いいよ。」 
インターホンの音。 
「誰だろう。」とエリ。 
「私出るね。」と瑠可。 
瑠可が玄関の戸を開けると... 
顔を殴られて腫らした美知留が、泣きながら立っていた。 
「瑠可...。」助けて...。 
美知留が瑠可に倒れていく。 
美知留をしっかりと抱きとめる瑠可。 
「助けて...」 
美知留の殴られた顔を見つめ、美知留に頬を寄せて抱きしめる瑠可。 
「どうした!!」タケルが駆け寄る。 
エリ、友彦も出てきた。 
号泣する美知留を、4人が見守る。 
「瑠可...。 
 君はあの時、心に決めたんだな。 
 これから先、何があっても、 
 命をかけても、 
 美知留を守るって...。」 
weinxin
官方微信公众号
扫一扫关注官方微信公众号