「雷の多い年は豊作」伝承は本当だ

  「雷の多い年は豊作」伝承は本当だった!島根の高校生が実験で突き止める

 
 「雷の多い年は豊作になる」という言い伝えは本当か-。この疑問の解明に松江市の池田圭佑さん(18)が開星高校(同市)に在学中、カイワレダイコンと放電装置を使って取り組み、「雷を受けると植物は成長する」との実験結果をまとめた。この研究成果は学会誌に掲載され、専門家からも評価を受けた。(小林宏之)
 
 池田さんは、校内にある実験用の放電装置で落雷と同様の状態を作り、カイワレダイコンの成長の様子を調べた。この結果、種子に50秒間放電してから育てると、放電しなかった種子に比べて成長が約2倍速かった。また、放電を5分間続けた水道水と、通常の水道水を使って栽培したカイワレダイコンの成長の違いをみたところ、放電した水で育てた方が通常の水に比べて芽の伸びが約2倍になった。
 
 使った水を分析すると、放電した水は通常の水に比べ、窒素量が約1・5倍だった。窒素は肥料の3要素の一つとされることから、「放電で空気中の窒素が水に溶け込み、成長の違いに影響した」と結論づけた。
 
 また、放電時間を50秒より長くすると発芽率や成長の度合いが下がったため、「それぞれの作物について適切な放電時間を突き止めれば、収穫サイクルの短縮などで生産量の向上につながる」と話している。
 
 宮沢賢治が、農学校教員時代の授業で雷と作物の出来との関係に触れていたということを高校2年の時に本で読んだのがきっかけ。興味を持った池田さんは2年の冬から実験に取りかかり、プラズマ・核融合学会が主催する平成28年度の第14回高校生シンポジウム「科学とプラズマ」に応募した。昨年8月に九州大学で行われたシンポで発表し最優秀賞を獲得。研究成果が同学会誌に掲載された。池田さんは今月から大阪府内の大学に進学する。
 
 京都大大学院エネルギー科学研究科の岸本泰明教授(プラズマ・核融合科学)は、種に直接放電することで成長が促進される原因は不明としながらも、「放電によって空気中の窒素が水に溶け込み、カイワレダイコンの成長が促進されたことを実験で突き止めた点は素晴らしい」と話している。
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