『論語』の述而篇-11

[白文]11.子曰、富而可求也、雖執鞭之士、吾亦為之、如不可求、従吾所好。

 
[書き下し文]子曰く、富にして求むべくんば、執鞭(しつべん)の士と雖も、吾亦(また)これを為さん。如し(もし)求むべからずんば、吾が好むところに従わん。
 
[口語訳]先生が言われた。『富が正しい方法で手に入るのであれば、鞭を振るって馬を走らす御者にでもなるだろう。もし、富が正しい方法では手に入らないというのであれば、私は自分の好きな事柄をするだろう。』 
 
[解説]孔子は、富(金銭)を追求すること自体を罪悪視しなかったが、それを求める手段や方法の正当性(徳性)にはある種の強いこだわりを持っていたのである。また、正しい道徳の道を歩むことによって富が手に入るのであれば、御者にでもなるといっているように、孔子は『徳の実践』によって『富の獲得』に至ることを理想としていた節がある。反対に、正しい行為をしても富が手に入らないのであれば、『お金のための職業・仕事』に余りこだわらずに、自分がしたいこと(好むところのもの)に集中するほうが良いとしている。
 
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