第二十章:民間美術~中国の木版年画

 中国の民間年画(中国の伝統的祝日である春節、旧正月に、喜びや吉祥の気分を表すために室内に貼る絵)は長い歴史を持ち、漢の時代に悪魔を取り除くため玄関の門に貼る絵から始まったとされています。 

 
 宋の時代(960年―1279年)に木版刷りの技術が、初めて年画の製作に使われました。この時期、木版刷りによる年画が大量に生産され、市場で売れ筋となったことから、木版年画は宋の時代に生まれ、大きな発展を遂げたとみられています。 
 
 宋の時代から、木版年画の内容は自然を崇拝し、神様を崇拝することから、豊かで、吉祥、喜びを表す内容となったほか、戯曲故事や民俗風情も木版年画作りの時にとり入れられ、農民の感情や理想、現実生活を反映しています。木版年画はイメージ的な意味合いを持つほか、一般的な言語の方式でそれを解読する必要があります。例えば、蝙蝠の蝠という漢字の発音は幸福の福の発音と同じであることから、蝙蝠を描いたら幸せを表します。カササギ(喜鵲)の喜という漢字の発音は喜慶の喜と同じなので、カササギは喜びを表します。木版年画の表現形式は、民間絵画の手法をとるか、あるいは、伝統的図案、有名画家が描いた絵の優れた点をとり入れ、木版刷りの技術を利用して、特定の様式や体裁を形作りました。 
 
 木版年画の製作は、明(1368年―1644年)の後期から清(1368年―1911年)の時代に最盛期を迎え、民衆から喜ばれていた作品が多く創作されました。これらの木版年画は、色鮮やかで、喜びとにぎやかな雰囲気に溢れ、内容が豊富多様でした。人気ある年画には(春牛図)という年画があり、春に田畑を耕す牛という図案で、勤勉でよく働くという意味を成し、(年年有魚)という年画は、太って可愛らしい子供が大きな魚を抱くという図案で、生活が豊かであることを意味し、(五谷豊登)という年画は、大豊作だったことを意味します。 
 
 当時の中国には、地域的特色を持ついくつかの有名な木版年画を作る中心地があり、代表的な民間木版年画は天津楊柳青年画、蘇州桃花塢年画、山東濰県楊家埠年画が挙げられます。清の後期、西側諸国の石印(石刻印刷リトグラフ技術)が中国に伝えられたことから、木版年画が次第に衰えていきました。
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