第二十章:民間美術~凧あげ

 凧は中国の典型的な民間工芸の一つです。鑑賞用や、遊び、健康づくりの一環になっています。また、民俗、スポーツ、科学技術とも密接な関係があり、民間工芸の多用さを表しています。中国語では、凧揚げは「凧を放つ」と言い、意味的に不幸を「放つ」を連想させます。つまり、「病気よ飛んでけー!」なのです。凧は、中国各地でみられますが、龍以山東灘坊や北京、天津、江蘇の南通などが、もっとも有名です。 

 
 山東省灘坊の凧は、中国のお正月飾りである年画と一緒で、悠久の歴史を持ち、木版年画芸術の影響を受けています。この地方の凧は、優雅で、工芸としても洗練され、活き活きとし、カラフルなものです。また、高く揚げやすく、この地方の特色が強く表れています。 
 
 北京の凧は300年の歴史があります。その中でも、代表的なのが、沙燕凧です。沙燕凧は、扎燕ともよばれています。形は、まるで空に舞う燕のようで、翼を広げ、尻尾は二股になっているので、ちょうど漢字の「大」の字のようです。沙燕凧は、両方の翼に模様が描いてあります。模様として多いのは、コウモリです。中国語でコウモリは、「福」の字と同音なので、コウモリが縁起がよいとされ、凧の模様にも使われるのです。この凧を2つ並べて飛ばすことは、中国語で「比翼双飛」と言い、これまた縁起がよいとされています。一つの凧は青、もう一つが赤で、相互が対照的で美しく、かつ縁起がよいのです。
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