第二十章:民間美術~泥人形(一)

 中国中部の河南省は「泥泥狗」と呼ばれる泥人形が有名です。色は主に黒で、笛にもなります。その種類は多いのですが、特に多いのが猿の泥人形です。「人面猿」、「膝を抱えた猿」、「桃を持った猿」、「鋤を担いだ猿」、「抱き合った猿」などの泥人形があります。 

 
 悠久の地方独自の歴史の中で、各種の泥人形は単なるおもちゃではなく、そこには深い文化があります。 
 
 泥人形の猿は、まず、片面を版で押して正面を作ります。背中にあたる部分は、手で平らにし、尻尾で固定すると、人形が立ち上がります。後頭部と尻尾には穴があり、吹くと、笛になります。この猿の人形は、顔と腹部に絵柄が集中しています。顔は簡単に目鼻立ちを描き、人の顔や猿の顔に似せます。腹部は主に、点と線で以って描き、生殖器を持っています。泥人形の猿は、まん丸の目に赤い顔をしています。上半身はかなり誇張してありますが、下半身は簡略化されています。まるで、猿のようであり、人間でもあるかのようです。素朴でありながら、洗練された、この泥人形は古くから伝わる神秘をそなえています。 
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