第二十章:民間美術~影絵芝居(三)

 中国の山西省の影絵芝居の戒律はとても厳しいものです。その芸術性と、工芸技術は、陕西省のものと非常に似ています。曲線は墨を以って、彫刻の代わりとし、彫刻では大変難しい微妙な線が描かれ、精密になっています。使用されている顔料は、職人たちが自ら作ったものです。赤、緑、橙色と色彩鮮やかで、優雅であるばかりでなく、虫に食われることもなく、長い間、その形を変えることはありません。 

 
 山西南部の影絵芝居には、おめでたい図案を模したものが、伝統的に伝わっています。例えば、「福禄寿」、「五子奪魁」、「八仙慶寿」、「魁星点斗」、「麒麟送子」、「連生貴子」などが人形や小道具の中に描かれています。人形の服装の中には、建築物がよく見られます。また、食器の模様には伝統的な模様として、「卍」や「富貴連年」、「如意長寿」などが描かれています。 
 
 この地方の影絵芝居の中で、「髪を梳かす少女」という作品の中には、少女が鏡の前に座って、お化粧をする姿が表現されています。影絵芝居の芸人が巧妙に髪を梳かす少女を演出する際、鏡の中の少女と鏡の外の少女がうまく対応しています。これを上演する時の二者の一致は、芸人の匠の技としか言いようがありません。この地域独特の影絵芝居は非常に精密です。また、そこに描かれている机、椅子、箪笥、素朴な食器類も精密なものです。影絵の輪郭がはっきりしていて、少女の服装や椅子の図案も大変美しく、見る者を魅了します。 
分享到:
赞(0)