『日本を読む』 13

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ダグラス・田口さんの日記

 
 次の話はダグラス・田口という人の日記を日本語のなおしたものです。ダグラス・田口さんは、日系3世で、子供の時から家でおじいさんの日本語を聞いて育ち、週末日本語学校で勉強し、ハーバードに入ってから中級の日本語を勉強した3年生です。おじいさんの育った日本で生活してみたいと思い、去年1月から半年間大阪に住んでいるおじいさんの弟さんの家で生活しました。その時の生活について書いた日記です。
 
 二月二十六日(木曜)
 
 日本に来てから今日でちょうど一か月だ。やっと大伯父(おじいさんの弟さん)の家の生活にも慣れてきた。大伯父もおじさん、おばさんも一夫(かずお)さん(いとこ)、よし子さん(いとこ)も皆とても親切にしてくれる。が、少し親切すぎるのではないだろうか。僕のことをいろいろ面倒を見てくれるのはありがたいが、細かいことまで心配されると少し窮屈に感じてしまう。例えば、おばさんは毎日僕が出かける時、どこにいって、何時に帰ってくるかたずねる。たとえ遅く帰ってくると言ってもいつも夜寝ないで待っていてくれる。早く寝てくれると、僕も安心するのだが、、、。また、僕に何も聞かずに、コーヒーを入れてくれたり、果物を切ってくれたりする。飲みたくない時やおなかがすいていない時にすすめられると本当に困ってしまう。何回か「いいえ。結構です」と言って断わったのだがおばさんは気分を悪くしたようだった。どうすればいいのだろうか?又、私は部屋で何もしないでベッドに横になって考えるのが好きなのだが、私が部屋で一人で静かにしているとよく一夫さんがノックもせずに部屋に入ってきて、心配そうに「どうしたの?具合でも悪いの?」とか「病気にでもなったの?」とか言う。いつも誰かに監視されているようであまり好きじゃない。「日本の家庭ではプライバシーがない」、“Japanese hospitality is a charming torture″と誰か外国人が言ったそうだが、一人でいるのを楽しんでいる時に邪魔されると、本当にそうだなあと思う。
 
四月八日(水曜)
 
 今日は「花祭」というお釈迦様の誕生日だそうだ。アメリカにいた時、日本人には宗教を持たない人が多いと聞いていたが、実際に日本で生活してみると日本人はいろいろ宗教的なことをしていることがわかってきた。大伯父は朝晩二回必ず仏壇に御飯をそなえ合掌し、お祈りをする。神棚にも手を合わせ拝む。おじさんも車にお守りをつけ、彼岸には家族と一緒に先祖の墓に墓参りに行く。結婚式は、神式、仏式、キリスト教式、といろいろあり、葬式は仏教のやり方で行われる。お盆の時には故郷に帰り、先祖の霊を迎える。日本人は一人の神だけではなくいろいろな神を信じている。受験生は試験に合格させて下さる神様のところへ、子供がほしい女性や、もうすぐ子供が生まれる母親は「安産」の神様のところへ、交通事故にあいたくない人は「交通安全」の神様のところへいってお祈りをする。一人の人がさまざまな神様にお願いに行くのもよく見受ける。近所のある女性は、娘さんに良いお婿さんが見つかりますようにと「縁結び」の神の神社へいってお祈りし、息子が学校で良い成績がとれますようにと「学問」の神に祈り、御主人の商売が繁盛しますように「福」の神を拝みに行く。キリストだけが唯一の神であるキリスト教中心の社会で育った僕には、日本人がいろいろな神様に違うお願いをしているのをはじめて見た時変な気持がしたが、だんだん慣れると別に変だとも思わなくなってきた。
 
 ユダヤ教信者やキリスト教信者の神についての考え方で日本人の宗教を考えると日本人の宗教生活が理解しにくい、日本人が考えている神様はキリスト教やユダヤ教の神様よりずっと身近なものだ、ということが最近少しわかってきた。大伯父は毎朝、仏壇で長い時間死んだ奥さんと話をする。彼の話では、奥さんは仏様(ほとけさま)になって天国で彼の家族の安全を見守っていてくれるそうだ。つまり、奥さんも神様の一人になるわけだ。又、近くの神社やお寺でお祭りがあると、人々は一緒に踊りを踊ったり酒を飲んだりするが、神様も一緒にお祭りを楽しむと言われている。西洋の宗教では神は絶対的なものでいつもこわい存在だが、日本の神様は人間味があってもっと人間の世界に近い存在のようだ。
 
 五月五日(火曜)
 
 今日は「子供の日」という休日だが、悲しいニュースがあった。東京のある三十才の男性がマリファナを吸い警察に捕まったが、田舎にいるその父親が息子の罪の責任を負って自殺してしまったというニュースだった。テレビによると、その家族は田舎の旧家で、父親は家長として大きな権力を持っていた。その地方では、家族の誰かに何か良いことがあれば、それは家長の教育がいいからだと考えられ、家族の誰かが不名誉なことをしたら、それは家長の監督が充分じゃないからだと見なされる風潮がまだ残っている。そのため、息子が罪を犯したことに関してその父親は、それは自分の責任で、「世間様に申し訳ない」「近所の手前、恥ずかしい」と考え、自殺してしまったようだ。テレビを見ていて一つ変だと思うことがあった。事件は一人の男性が法律で禁止されているマリファナを吸うという行為をして警察に捕まったという単純な事件だ。ところが、テレビのレポーターがわざわざその男性の故郷までいって、両親や近所の人にインタビューをした。両親や近所の人は事件とは全然関係ないはずで、どうして彼等にインタビューしなければならないのだろうか?インタビューされて自分の息子の恥が世間に知れ渡ってしまったので、父親は自殺しておわびをしなければいけないと思うようになったのではないだろうか。もしレポーターが田舎まで行かず、近所の人が事件について知らなかったとしたら、父親は自殺しなくてもよかったのではないだろうか。大伯父に子の事件について聞いたら、彼もやはりこの父親と同じように感じるだろうとのことだった。よくわからないなあ。
 
 
☆ 次の質問に答えなさい。
 
1.田口さんが大伯父さんの家で生活していた時あった三つの問題について簡単に自分の言葉で説明しなさい
 
a.
 
b.
 
c.
 
2.おばさんとの問題(15行目)を解決するためにはどうしたらいいと思いますか。
 
3.西洋の人と日本人の神についての考え方の違いについて簡単に説明しなさい。
 
4.おとうさんにまでインタビューしたレポーターについてのあなた自身の考えを簡単に述べなさい。
 
5.日本人はどんな場合に「世間様に申しわけない」「近所の手前、恥ずかしい」と思いますか。具体的な例を一つあげなさい。
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