小倉百人一首(62)

 62、

夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の関はゆるさじ
清少納言
 
【歌意】 まだ夜が明けないうちに、鶏の鳴き声をまねてだまそうとしても、この逢坂の関は決して許さないでしょう?私はお逢いしません。
 
【作者】 (せいしょうなごん) 966?~1027?年 清原元輔の娘。一条天皇の中宮定子に仕える。『枕草子』の作者。
 
【説明】 「あふ」は「逢ふ」と「逢坂」の掛詞。大納言藤原行成が夜更けまで話し込んでいたが、宮中の物忌みがあるからと理由をつけて帰っていった。翌朝、「鳥の声にもよほされて」と言ってよこしたので、作者は函谷関(かんこくかん)の故事をふまえて、夜更けの鳥の声は、あの函谷関のそら鳴きのことですねと返事をした。すると行成が、「関は関でも、あなたに逢う逢坂の関」とたわむれを言ってきたので、この歌を詠んだという。
 函谷関の故事とは、中国の戦国時代、斉(せい)の国の孟嘗君(もうしょうくん)が、秦(しん)に使いして捕えられたが、部下に鶏の鳴きまねをさせて、一番鳥が鳴かなければ開かない函谷関を夜中に開かせて脱出したというもの。
分享到:
赞(0)