小倉百人一首(88)

 88、

難波江(なにはえ)の 芦のかりねのひとよゆゑ 身をつくしてや恋ひわたるべき
皇嘉門院別当
 
【歌意】 難波の入り江にある、芦の刈り根のひと節ほどの一夜をあなたと過ごしたために、私は澪標(みおつくし)のようにこの身を尽くしてお慕いし続けなくてはならないのでしょうか。
 
【作者】 (こうかもんいんのべっとう) 12世紀の人。太皇太后宮亮源俊隆(たいこうたいごうぐうのすけみなもとのとしたか)の娘。崇徳天皇の皇后、皇嘉門院聖子(こうかもんいんせいし)に仕える。
 
【説明】 「難波江」は摂津国難波(大阪市)の入り江。「かりねのひとよ」は「刈り根の一節」と「仮寝の一夜」の掛詞?「みをつくし」は「身を尽くし」と「澪標」の掛詞。「澪標」は船の航行の目印に立てられた杭。たった一夜だけの旅の宿でのはかない恋にもかかわらず、この先もずっと恋い焦がれ続けなければならないという。
 
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