秋(2)

その二

 
おや 眼の中にごみが入りましたね
あの人はやさしく私に声をかけた
ええ
今にも泣き出しそうな私に・・・
ポトリ 一雫の涙が落ちる
あわてて拭うわたしに
もう眼の中のごみはとれましたね
さあ 笑顔して歩きましょう
あしたへ 遠いあしたの為に
悲しいことは今日で忘れなさい
辛いことも 今日で終りにしましょう
 
あしたは あしたはもう
涙とお別れ
涙の壷は からっぽ
空っぽのその壷に 千代紙の
折鶴を入れるの
一羽が二羽になり 二羽が三羽に
やがて つぼに折鶴が溢れて
溢れた折鶴は大空へ舞い上る
ひとりぼっちじゃない わたし
ひとりぼっちじゃない わたし
 
一年が経ち 二年が経って
時は流れゆく
やがて 少女は大人になりました
大空へ消えて行った 幻の折鶴
きっと掌の中に帰ってくると信じながら
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