『論語』の子張篇-10

[白文]10.子夏曰、君子信而後労其民、未信則以為厲己也、信而後諌、未信則以為謗己也、

 
[書き下し文]子夏曰わく、君子、信ぜられて而して後にその民を労す。未だ信ぜられざれば則ち以て己を厲(や)ましむと為すなり。信ぜられて而して後に諌む(いさむ)。未だ信ぜられざれば則ち以て己を謗る(そしる)と為すなり。
 
[口語訳]子夏が言った。『君子は人民に信頼されるようになってから、はじめて人民を労働に使役する。信頼されないうちに人民を使役すると、人民は政治が自分達を悩ませるものと思ってしまう。君子は主君の信頼を得てから、はじめて主君に諫言(かんげん)をする。信頼を得ていないのに主君を諌めようとすると、主君は自分を誹謗されていると思ってしまう』。 
 
[解説]人民に労役(夫役)を割り当てて使役しようとする場合には、君子と人民の間に信頼関係が成り立っていないと、人民は政治に不満を覚えて反発するので上手く行かない。同様に、君主と家臣の間に信頼関係が成り立っていなければ、有効な諫言(厳しい助言)をすることができず、君主はまともな指摘であっても聴く耳を持ってくれない恐れがある。
分享到:
赞(0)