日语新闻:ナノカプセル 耐性がんに効果

 

  抗がん剤を“ナノサイズ”のごく小さなカプセルに入れて投与することで、抗がん剤が効かなくなったがん細胞の増殖を抑えることに、東京大学の研究グループがマウスを使った実験で成功し、ヒトへの応用が期待されます。

  東京大学の片岡一則教授の研究グループは、直径40ナノメートル(1メートルの2500万分の1)というごく小さなカプセルに薬を閉じ込めて、がんなどの病変に直接働く薬の開発を進めています。今回グループが注目したのは、抗がん剤が効かなくなった大腸がんの細胞です。この細胞は、抗がん剤を繰り返し投与されているうちに、薬の成分が近づくと、その成分の働きを抑える物質を出すように変化しています。研究グループは、抗がん剤をカプセルに閉じ込めて、直接、がん細胞の中で働くように設計すれば効果が出るのではないかと考え、ヒトの大腸がんの細胞を移植したマウスを使って実験しました。その結果、マウスに注射したカプセルは、抗がん剤だとは気づかれずに細胞の内側に入り込んで働き始め、がん細胞の増殖を抑えることが分かりました。抗がん剤が放出されると赤く光るようにしたカプセルを使うと、がん細胞の核の近くで光ることが顕微鏡でも観察されました。片岡教授は「ピンポイントで攻撃する、いわば『トロイの木馬』のようなものだ。臨床試験で安全性を確認し、5年以内の実用化を目指したい」と話しています。

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