第三章:経済~2、産業構造の基本的な情況

 2、産業構造の基本的な情況 

 
 産業構造とは、各産業部門における生産要素の比例構成およびその相互依存と相互制約の連係を指す。産業構造には、農業・工業・サービス業という3つの産業間の比例関係および各業種間の比例関係などが含まれている。 
 
 1949年の新中国成立以降、中国の産業構造は3つの段階を経て発展してきた。第1段階は1950年代から70年代の末までで、中国は半植民地経済の特徴を急速に転換し、工業化の基礎を初歩的に固めた。第2段階は1979年から90年の初めまでで、中国は改革開放の方針を定め、産業構造を絶えず調整し工業化の中期段階にまい進した。第3段階は1990年代初め社会主義市場経済体制の確立を打ち出してから2020年までで、工業化を実現すると同時に、初歩的な情報化を完成するという目標を掲げている。 
 
 この60年余りの間、中国では3つの産業間の比例関係にも大きな変化が生じた。1950年代の初めから2012年までに、中国では農業の比率が45.4%から2012年の10.1%に下がり、工業の比率が34.4%から45.3%に上がり、サービス業の比率が20.2%から44.6%に上昇した。 
 
 農業 
 
 中国は、農業人口が総人口の絶対多数を占める国であり、農業は中国経済できわめて重要な地位を占めている。 
 
 中国には、960万平方キロの陸地面積があるが、耕地面積は世界の約7%を占めているとはいえわずか127万平方キロしかない。耕地は主に中国東部モンスーン地帯の平原と盆地に集中している。中国の農業生産部門では栽培業が最も重要で、主な食糧作物には水稲・小麦・トウモロコシ・大豆などがあり、経済作物には綿花・ピーナツ・アブラナ・サトウキビ・テンサイなどがある。 
 
 中国農業の急成長は、1978年に農村で改革開放政策が実施されて以降始まったものである。この30年余り、中国の農村改革は集団所有制の枠組みの下で、市場を導きとして伝統的な体制の束縛を打ち破り、市場経済の条件下における集団経済の新しい形を模索してきた。農村の改革は農民に利益をもたらし、農村の生産力を解放して、農業、特に食糧の増産と農業構造の絶え間ない調整を促し、中国農業の発展を大いに推進した。現在、中国の食糧や綿花・菜種・タバコの葉・肉類・卵類・水産物・野菜などの生産量はいずれも世界首位となっている。 
 
 近年、中国政府は、農業の発展を一貫して活動の重点としており、農業への資金投入を絶えず拡大し、農民の収入を増やして農村と都市のバランスのとれた発展を実現させるよう取り組んでいる。 
 
 工業 
 
 1949年の新中国成立後、中国の工業は全面的な回復と発展の時期に入ったが、中国工業の急速な発展は1950年代初頭に始まった。1978年改革開放政策が実施される前に、中国ではすでにほぼ完全な工業経済の体制が整っていた。伝統的な石油工業と当時の新興産業だった化学工業や電子工業はいずれも急速な成長を遂げ、またハイテク産業とされる原子力工業と宇宙航空工業も突出した発展を収めた。さらに1970年代の末以降、中国工業の成長の勢いは更に加速し、1979年から2012年にかけて工業の伸び率は年平均10%以上を保ってきた。 
 
 60年余りの発展を経て中国の主な工業製品の生産量は、数十倍ないし数百倍の伸び率で増え続け、数多くの工業製品が世界各地に輸出されている。1996年以降、鉄鋼・石炭・セメント・農業用化学肥料・テレビの生産量はずっと世界一を占めている。 
 
 2012年中国は工業付加価値23兆5319億元を実現し、前年同期比で8.1%の伸びとなった。現在、中国は、航空機・船舶・自動車だけでなく、人工衛星や現代的な工業設備も製造できるようになった。一定の技術的水準に達し、産業セクターが整った独立な工業システムが確立された。今後、中国は情報化によって工業化を促進するという戦略の実施を一層推進し、中国経済の成長に対する工業の役割発揮を加速させていく。 
 
 サービス業 
 
 1970年代末以降、中国のサービス業は大きく発展してきた。 
 
 その発展は主に2つの面に現れている。まず、サービス業の規模が絶えず拡大しつつあることである。統計によれば1978年から2012年まで中国サービス業の付加価値額は860億5000万元から23兆1626億元に260倍も増加し、年平均10%以上の伸び率は同じ時期のGDPの伸び率も上回っている。またサービス業の付加価値額がGDPに占める割合も1979年の21.4%から2012年の44.6%に上った。2012年は国際金融危機の影響を受けたにもかかわらず、相変わらず急速な成長を遂げた。 
 
 一方、中国のサービス業は雇用の受け皿としても注目されるようになっている。サービス業に従事する者は1978年の4890万人から、急速に増えて2011年には7億6000万人となり、就業者数の最も多い産業部門となった。 
 
 現在、中国のサービス業は飲食・観光・小売・金融・保険・情報・運輸・広告・法律・会計・不動産管理など数多くの分野に及んでいる。中国の発展計画によると、2020年にサービス業の付加価値額がGDPに占める割合は現在の約3分の1から2分の1以上に上がるだろう。
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