「 こころに残るアルバム」

私のお腹に住んでいた子を紹介しましょう。滞在期間は33週4日、体重2220グラム、身長46.9センチの、とても元気な男の子でした。一緒に絵本を読んだり、花を見に出掛けたり、美味しいものを食べたりして、楽しみました。そして、私のお腹から、外の世界に出たものの、目を開けることはなく、空気を吸うこともなく、違う世界へと旅立ったのでした。ですから、私たち親子のアルバムは、これ以上増えることはありません。わが子との写真は、子どもの部屋でふくらんだお腹でいる私の写真と、目を閉じて何か言いたそうな子どもと私の写真です。初めは、心残りがたくさんあっただろうにと、不憫で仕方ありませんでしたが、1年経った今、私が思うのは、「心残り」ではなく、「心残し」をしてくれたのだということです。写真は少ないけれど、思い出も少ないけれど、その1つ1つを大事に思えるように、感覚やイメージ、そして心に、アルバムを残していってくれたのです。決して消えることのない、私たち親子の、こころのアルバムです。

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