『論語』の衛霊公篇-07

[白文]7.子曰、直哉史魚、邦有道如矢、邦無道如矢、君子哉遽伯玉、邦有道則仕、邦無道則可巻而懐之、 

 
[書き下し文]子曰く、直なるかな史魚(しぎょ)。邦に道有るときも矢の如く、邦に道無きときも矢の如し。君子なるかな遽伯玉(きょはくぎょく)。邦に道有るときは則ち仕え、邦に道無きときは則ち巻きてこれを懐(ふところ)にすべし。 
 
[口語訳]先生が言われた。『まっすぐであるな、史魚は。国家に正しい秩序があるときは矢のように動き、国家に正しい秩序がないときも矢のように動く。君子であるな、遽伯玉は。国家に正しい秩序がある時には役人に仕官し、国家に正しい秩序がない時には自分の才能を巻いて懐にしまっておける。』 
 
[解説]孔子が、廉直の人である史魚と君子である遽伯玉を評価して語った言葉である。孔子の理想の士大夫(したいふ=高級官僚)とは、国家にまっとうな倫理と秩序がある時には懸命に働き、それらがない時には官吏となって俸禄(給与)をいたずらに得ることをしないというものであった。官職を得るべき時期や官吏として勤める心得について、『論語』では繰り返し述べられているが、それは君子が最終的に就くべきメインの職業が『為政者(政治家・官吏)』であったからである。 
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