『論語』の為政篇-01

[白文]1.子曰、為政以徳、譬如北辰居其所、而衆星共之。

 
[書き下し文]子曰く(しいわく)、政を為すに徳を以って(もって)すれば、譬えば北辰のその所に居て、衆星のこれを共る(めぐる)が如し。
 
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『政治を行うのに道徳(人徳)をもってすれば、まるで北極星が天の頂点にあって、周囲の星々が北極星の周りをめぐるように上手く民衆を治められるだろう。』 
 
[解説]民衆を愛する徳を兼ね備えた為政者が政治に当たるのであれば、全天の無数の星を規則正しく運動させる北極星のように、天下国家は有徳の君主(為政者)を中心にして円滑に運営されるという徳治政治の基本を説いている。分析心理学を創始したC.G.ユングは星座を構成するひとつひとつの星があるべき位置に調和を保って布置されることを「コンステレーション(constellation)」といったが、星座全体を「国家」に星を「人民」に例えれば、その中心に位置する北極星が「有徳の為政者」ということになる。有徳の為政者と無数の人民が最適な場所にコンステレート(布置)されることによって、国家安泰の徳治が成立するというのが孔子の政治哲学である。
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