『論語』の衛霊公篇-09

[白文]9.子曰、志士仁人、無求生以害仁、有殺身以成仁、 

 
[書き下し文]子曰く、志士仁人(しし・じんじん)は、生を求めて以て仁を害すること無し。身を殺して以て仁を成すこと有り。 
 
[口語訳]先生が言われた。『志士・仁人と呼ばれる人は、生命を大切にしながらも仁徳を傷つけることがない。更に、身を殺してでも仁徳を成し遂げることができる。』 
 
[解説]高潔な目標を持っている『志士』と仁の徳性を身につけている『仁人』は、日常生活の中では自己の生命を尊重するが、仁徳を達成するためにどうしてもわが命が必要であると覚悟すれば、その身を潔く捨てることに何の躊躇もないということである。志士仁人の心構えはある種の自己犠牲精神と言えるが、政治権力(教育政策)による人民の道具化などに利用される恐れもあるので、志士・仁人は『(他からの強制のない)個人の自発的な覚悟・克己』によって生まれるということを忘れないようにしたい。
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