『論語』の八イツ篇-02

[白文]2.三家者以雍徹、子曰、相維辟公、天子穆穆、奚取於三家之堂。
 
[書き下し文]三家者(さんかしゃ)、雍(よう)を以て徹す。子曰く、相くる(たすくる)は維れ(これ)辟公(へきこう)、天子穆穆(ぼくぼく)たりと。奚ぞ(なんぞ)三家の堂に取らん。
 
[口語訳]孟孫・叔孫・季孫の三家老は、雍の楽に合わせて祭りを執り行った。先生がおっしゃった。「その雍の歌の文句に、『祭助けまいらす諸侯、天の下おわします天子の気色うるわしく』という文句がある。どうして(王位を簒奪した)三家老の堂に用いることができようか」 
 
[解説]魯の三孫氏(三家老)は君主である昭公を追放して、自分たちが国政の権力を握っているが、三家老は『詩経』の周頌(しゅうしょう)の雍の楽を歌いながら祖霊を祭っている。しかし、周頌の雍という楽では、天命によって国家を統治する天子の祭が歌われ、天子に付き従う忠実な諸侯の様子が示されている。三家老は自分たちが天子(君主)を追い落とした賊臣でありながら、よくも平然として『詩経』の周頌などを演奏させられるものだという、統治の正統性にこだわる孔子の憤慨を示している。
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