『論語』の為政篇-02

[白文]2.子曰、詩三百、一言以蔽之、曰思無邪。

 
[書き下し文]子曰く、詩三百、一言(いちごん)以ってこれを蔽むれば(さだむれば)、思い邪無し(よこしまなし)と曰うべし(いうべし)。
 
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『詩の篇の数は三百ある。これを一言でまとめると、「思い邪なし」というほかはない。』 
 
[解説]孔子が詩の本質と魅力を簡潔に指摘した文章である。見せ掛けだけの巧言令色を嫌った孔子は、当然のように詩篇についても華やかで優雅な美辞麗句を嫌い、邪心のない純粋な感情が迸る(ほとばしる)ような表現で構成された詩を好んだ。「思い邪なし」の表現は、四書五経の一つ「詩経」の魯頌(ろしょう)から引用したもので、魯頌とは魯国の祖先の霊廟を祭るときの舞楽であり、孔子は仁義と同等以上に礼楽を重視した人でもあった。
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