『論語』の学而篇-13

[白文]13.有子曰、信近於義、言可復也、恭近於礼、遠恥辱也、因不失其親、亦可宗也。

 
[書き下し文]有子曰く、『信、義に近づけば、言復む(ことふむ)べし。恭、礼に近づけば、恥辱に遠ざかる。因ることその親を失わざれば、亦宗とすべし。』
 
[口語訳]有先生がこうおっしゃった。『約束を守るという信の徳は、正義(道理)に近づけば、言葉どおりに履行できる。うやうやしく振る舞う恭の徳は、礼の形式に近づけば、人から受ける恥辱から遠ざかる。姻戚との関係は、その親密さが度を越えなければ(父系親族との親密さを越えなければ)、本家(宗族)の信頼を維持できる。』 
 
[解説]この文章の最後の部分は非常に難解であるが、「因」は「姻」と解釈することができ、妻の一族(母系親族)との関係と夫の一族(父系親族=本家)との関係のバランスを説いたものと考えられている。これは、「信・恭・因」という実現が困難な徳の根本が何であるのかを有子が論理的に述べたものであり、「信と義の関係」の深さのみならず、「恭と礼の関係」や「因と宗の関係」の重要性に言及している点が目を引くところである。
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