『論語』の八イツ篇-14

[白文]14.子曰、周監於二代、郁郁乎文哉、吾従周。

 
[書き下し文]子曰く、周は二代に監み(かんがみ)、郁郁乎(いくいくこ)として文なるかな、吾は周に従わん。
 
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『周の礼制は夏・殷の二代を模範とし、咲き誇り良い香りのする花の如く美しいものである。私は周の礼制(伝統)に従おう。』 
 
[解説]孔子が、最高に優れた文化と儀礼を持った時代と考えていたのは「周王朝(魯の先祖が建国した国)」の時代である。特に孔子が尊敬していたのは、殷周革命を実現した武王に仕え、武王の子・成王に大政奉還した周公旦(しゅうこうたん)であったと言われる。何故なら、太公望呂尚と共に武王を補佐した周公旦は、周の政権を取ろうと思えば取れた立場にありながら、その実権を自ら進んで主君である成王に返還(大政奉還)したからである。下克上が相次ぐ混乱した春秋時代に、孔子が目指した理想の政治は、突き詰めれば、伝統的な「周礼」に還ることであり、正統な君主に政権を返す「王政復古」の実現であった。周礼に還る政治とは、人民の礼節と為政者の徳性によって国家を治める徳治政治へとつながる。
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