『論語』の八イツ篇-03

[白文]3.子曰、人而不仁、如礼何、人而不仁、如楽何。
 
[書き下し文]子曰く(いわく)、人にして仁ならずんば、礼を如何せん(いかんせん)。人にして仁ならずんば、楽(がく)を如何せん。
 
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『人として思いやり(仁)のないものが、礼を習得してどうなるのだろう(いや、何にもならない)。人として思いやり(仁)のないものが、楽を歌って何になるのだろう(いや、何にもならない)。』 
 
[解説]孔子にとって最大の徳は飽くまで「仁」であり、仁とは、他者に対する人間としての情愛、家族に対して湧くような自然な思いやりのことである。他者を大切にして思いやるという「仁」に欠けたものが、幾ら形式的な礼節を学んでも何にもならないし、儀礼に必要な楽(歌)を上達させても何にもならないのである。徳治政治に必要不可欠な「礼楽の道」というのは、親愛の情を寄せる他者に対して、秩序や礼儀を効率良く伝える為の方法に過ぎず、他者を大切にする「仁」のない者がいくら見せかけだけの礼楽を習得しても無意味ということである。
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